発達障害はうまれつきの障害ですが、二次障害は防げるものです。
とはいえ、すでに起こってしまった二次障害については
なんらかの対処をしなければなりません。
今日は発達障害の二次障害としてよく見られる強迫性障害と、
その具体的な対処法の例を紹介していきます!
執筆者たまこの二次障害
せっかく発達障害の当事者が執筆しているブログなのですから、
今日は執筆者たまこの個人的経験を交えながら
二次障害について障害したいと思います。
↓発達障害の二次障害についてのお話はこちら↓
発達障害の二次障害とは? その具体例も紹介!
たまこの二次障害のひとつに強迫性障害があります。
強迫性障害は、以前は強迫神経症とも呼ばれ、
耳にしたことがある方も多いと思いますが、合理的でないと
わかっていても特定の行動や考えを繰り返してしまう状態を指します。
原因は不明ですが、強迫性障害を発症しやすいと言われる人の中に、
ASDを持つ人も含まれています。
強迫性障害とは?
さて、強迫、と聞いて皆さんのイメージしやすいところでは、
しょっちゅう、ずっと手を洗っている人、でしょうか。
これは、洗浄強迫といって強迫性障害でよく見られる行動です。
汚れが取れないという妄想に取りつかれていると勘違いしている人がいますが、
もう十分きれいだ、手の皮膚にも良くない、ほかにすることもある、
水の無駄だ…などと自分の行為が非合理であると思っていても
やめられないのが洗浄強迫です。
誰にも迷惑かけてないならいいじゃんと言う人もいますが、
この非合理ゆえに本人は葛藤しているのです。
たまこの場合は自宅を出るときの確認行為です。
電気を消したか、火は止めたか、鍵は閉めたか、エアコンは止めたか、
蛇口は締まっているか、などなど、何度確認しても心配で自宅を出られないのです。
やっと出たと思ったら、最寄り駅に向かう途中で引き返して再度確認。
チェックリストを作り確認、チェックしたリストを手に駅に向かうように
してみましたが、チェックの間違いがあるかも、念のため、と戻ってしまいます。
当然杞憂、徒労です。ばからしい、非合理です。
たまこはASDよりADHDの方がその傾向が強いので、
もともと時間どおりに家を出るのが苦手です
(ADHDを持つ人は時間の見通しが甘く、物事の優先順位を決められない、
ほかのことに注意がそれやすいことなどから、
時間や締め切りを守ることが苦手です)。
確認行為の時間を含めて早めに出るようにしたこともありますが、
往復の回数が増えただけでした。
こうして予約時間を守れずに医師に追い返されたり、
やっと始めたアルバイトの時間に間に合わず事実上クビになったり、
この確認行為のせいで信用を失ったことはしばしばあります。
ヘルパーの『送り出し』
これに対応するのに一番効果的だったのは「送り出し」でした。
なにやら相撲の決まり手を彷彿とさせますが、そういうことではありません。
ホームヘルパーのサービスの名称です。
ヘルパーと聞くと家事援助を想像される方が多いのではないかと思いますが、
送り出しもそのサービスの一つです。
たまこの場合は、出るまでにすることの進行具合と残り時間に
問題がないか見てもらいながら支度をすすめます
(これは強迫対策ではなくADHD対策)。
支度が済んだら、ヘルパーと事前に用意しておいたチェックリストに
チェックしながら声出し・指さし確認を行っていきます。
そして一緒に玄関の鍵を閉めて駅に向かいます。
駅に向かう道の途中で戻りたくなった時には、
ヘルパーが「ちゃんとやったよ」と声をかけてくれます。
そして最終的には自動改札の中まで文字通り「送り出し」、
安心して電車に乗れる、というわけです。
いつもこんなことやってたら実際大変だし、
こんな状態じゃまだバイトどころじゃないんだ…、とバイトは諦め、
遅れられない受診の時だけ利用していましたが、ほんとにありがたかったです。
強迫性障害を治療するには、一般的にはCBT(認知行動療法)などの心理療法、
SSRI(抗うつ薬の一種)などの薬物療法が用いられます。
たまこの場合は後者でしたが、現在は服用していません。
抑うつ状態も含め、全体的に調子が落ち着いてくるのと同時に、
強迫の程度も落ち着いてきた、という感じです。
ヘルパーの制度
ヘルパーの制度については『介護保険』と一般的には認識されていると思います。
65歳未満の精神障害者・発達障害者が利用できるヘルパーの制度は
『介護保険』ではなく、『自立支援法』における『介護給付』です。
これはややこしいお話しなので、またべつの時に解説できたらと思います。
↓ヘルパーの制度や申請・利用方法についての記事はこちら↓
精神障害のヘルパー利用料金の相場は?申請方法や費用を詳しく紹介!
ヘルパーを利用していることについて、親戚は怠けだとか贅沢だとか言うけれど、
もしかしてお手伝いさんかなにかと勘違いしているんじゃないかな、と思います。
あくまで『自立支援』のためのサービスなんですから。
義兄に話したところ、使えるサービスは使わないと、うまい使い方考えたねえ、
と言われ、なんだか誇らしいような気持になったときのことが忘れられません。
発達障害:二次障害とヘルパーさん 強迫性障害と対処法の例を紹介! まとめ
- 発達障害の二次障害のひとつに強迫性障害がある
- 強迫性障害は合理的でないとわかっていても
特定の行動や考えを繰り返してしまう状態である - 強迫性障害を発症しやすいと言われる人にASDが含まれている
- ヘルパーのサービスには『送り出し』というものがある
- 強迫症状で外出に支障があるときに『送り出し』が有効な例もある
そうそう、自宅に来てくれている介護福祉士(ヘルパー)さん、
ちょっと抜けてるけどチャーミングでとっても優秀なんですよ。
人間同士って相性もあるからね。たまこはとっても運が良かったみたいです。
ではまた。
関連記事
精神障害のヘルパー利用料金の相場は?申請方法や費用を詳しく紹介!
コメント
いろんな苦労があるんですね。思いも及ばなかったことだけど、このように説明してくれると少し理解できた気がします。
ヘルパーさんという制度整備のありがたさを感じます。「社会資源ハンドブック」というのがあることを、このブログを読みながらの検索で初めて知りました。
ご理解いただけてありがたく存じます!
なかなかわかりにくい実情を知り、理解してもらうことも
このブログの目的のひとつです。
特定非営利活動法人全国精神保健福祉会連合会の
『精神障がい者と家族に役立つ社会資源ハンドブック』のことでしょうか?
わかりやすく広く網羅して書かれているのに案外知られていないのですよね。
皆さんにも役に立ちますように。
厚生労働省ホームページ 精神障がい者と家族に役立つ社会資源ハンドブック(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/cyousajigyou/jiritsushien_project/seika/research_09/dl/result/01-23b.pdf
それです。145ページの中身があって、助けというか補助というか、ちょっとこんなことをしてもらえたらいいな、ということが、それを必要とする人を中心にまとめられています。
今はほとんど必要としていない私がコメントすることはできませんが、ここまでは制度整備ができているんだということがわかります。
制度を作ること、運用すること、現場仕事をすること、などいろんな層でいろんな人たちが動いてきていることがわかります。
少しでも多くの方の目にとまるように、
近いうちにハンドブックについて記事をアップしようと思います。
一助となればいいのですが。ありがとうございます!