精神疾患の治療には、医師の診察と投薬は欠かせません。
とはいえ、医療機関や薬局で支払う費用もばかになりませんよね。
お金の心配で受診や服薬が途切れることのないよう、
今日は精神科の通院医療費を軽減する制度を紹介します!
自立支援医療制度(精神通院)をご存じですか?
自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、
医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
自立支援医療制度の対象は、精神通院医療、更生医療、育成医療の3つであり、
なかでも精神通院医療の対象者は、精神疾患を有する者で、
通院による精神医療を継続的に要する者とされています。
具体的に負担が軽減されるものの例に、以下のようなものがあります。
- 病院やクリニックで受けた診察代(精神療法、投薬、検査等)
- 薬局で処方された薬や説明書代
- 病院やクリニックのデイケアの通所代、訪問看護の利用代
自己負担額は全国一律で1割負担となります。
適用前に3割負担で通院していた方は、支払いが1/3に軽減されます。
ただし、これは事前に指定した医療機関・薬局にのみ適用され、
同様の治療を受けた場合でも指定以外の医療機関・薬局には適用されません。
なお、世帯で医療保険に加入する方全員の所得水準に応じて
ひと月の上限金額が設定されており、これを超えた分は支払いが免除されます。
上限金額は0円、2500円、5000円、10,000円、20,000円の5種類です。
まれに医療保険の高額療養費の対象になること、上限金額設定の対象外になることが
ありますが、精神通院のほとんどはこの5種類のいずれかにあてはめられます。
詳細:厚生労働省ホームページ 利用者負担 (mhlw.go.jp)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/dl/01.pdf
自立支援医療申請に必要なもの
自立支援医療申請に必要なものは以下の通りです。
- 申請書:市区町村の窓口にあります。
自治体によっては役所でなく保健所を窓口としている場合もあります。 - 申請者の印鑑:認印でも可。
- 医師の意見書(診療情報提供書):自立支援医療(精神通院医療用)。
*都道府県により指定の書式が異なります。 - 保険証の写し:国保の場合は加入者全員分、ほかは被保険者本人・申請者分。
- マイナンバーがわかるもの(マイナンバーカード、通知カード、住民票):
国保の場合は加入者全員分、ほかは被保険者本人・加入者全員分。 - 課税証明書又は非課税証明書:国保の場合は加入者全員分、
ほかは被保険者本人・申請者分。 - 年金の受給額がわかるもの(振込通知はがき、通帳の写し、年金証書など)
- その他市区町村で指定された書類:世帯・所得調査における同意書、
訪問看護・デイケアなどを追加する場合の理由書 ほか
なお、同時に精神障害者保健福祉手帳を申請する場合には、
「精神障害者保健福祉手帳用診断書」で
自立支援医療の意見書を兼ねることができます。
自立支援医療の意見書で精神障害者保健手帳の診断書を
兼ねることはできませんのでお気をつけください。
↓精神障害者保健福祉手帳の申請方法はこちらをごらんください↓
精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)を申請・取得するには?
自立支援医療(精神通院)受給者証取得までの手順
自立支援医療(精神通院)受給者証取得までの手順は以下の通りです。
- 市区町村の窓口(役所、保健所)で書類をとりよせる
- 医師に意見書(診断書)作成を依頼する
- 書類を作成、必要なものをそろえる
- 書類、意見書(診断書)、その他必要なものを窓口に提出する
- 都道府県の審査を受け、上限金額が決まる
- 2~3ヶ月後、受給者証を受け取る
まずは市区町村の福祉の窓口や保健所で自立支援医療(精神通院)を
受給したい旨を伝え、申請書と意見書(診断書)の用紙をもらいましょう。
次に主治医に意見書(診断書)の作成を依頼します。
診断書の作成は保険がききません(自費)ので、
医療機関によって費用が異なります(数千円程度)。
必要なら事前に問い合わせておくと良いでしょう。
また、診断書はその場で書いてもらえることもありますが、
後日取りに来るように言われることがほとんどです。
時間に余裕をもってお願いするようにしてください。
申請書を記入し、必要なものをそろえたら、
意見書(診断書)と一緒に市区町村の福祉の窓口(保健所)に提出します。
自立支援医療(精神通院)受給者証取得後の手続き
自立支援医療を続けて受けようとする場合には、1年ごとに更新手続きが必要です。
前述の『必要なもの』*に加えて、取得した受給者証を
市区町村の福祉の窓口(保健所)に持参します。
*医師の意見書(診療情報提供書)については2年に1度の提出で大丈夫です。
有効期限から1ヶ月以上経過している場合は、意見書が不要な年でも
意見書が必要となります。
更新手続きは有効期限の3ヶ月前からできますので、忘れずに行いましょう。
自立支援医療:精神科の通院医療費を軽減する制度の申請方法を紹介! まとめ
- 自立支援医療制度は、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度
- 対象となるのは事前に指定した医療機関・薬局における
診療代、薬代、デイケア料、訪問看護料等で、その負担割合は1割である - 世帯の所得水準に応じて月の上限額が0円~2万円に設定されている
- 自立支援医療を申請するには、まず市区町村の窓口で書類をもらう
- 自立支援医療を申請するには、医師の意見書が必要
- 申請書が受理されてから2~3ヶ月で受給者証を取得できる
- 同時に精神障害者保健福祉手帳を申請するときは、
手帳用の診断書で自立支援医療の意見書に代えることができるが、
自立支援医療の意見書で手帳用の診断書に代えることはできない - 自立支援医療受給者証の有効期限は1年で、更新手続きが必要
- 自立支援医療受給者証の更新で医師の意見書が必要なのは2年に1度である
一般的にはあまり知られていない制度ですが、長期に渡る精神科治療において、
通院費の公費負担はすぐにお財布にあらわれるありがたい制度。
ここに通う!と決めたら速やかに申請したい制度です。
申請については医療機関・薬局の窓口では詳細を把握していないことも多いため、
市区町村の福祉の窓口に問い合わせることをお勧めします。
そろえる書類がやや繁雑ですが、細かい計算などは自分でする必要はありませんので、
書類さえそろえてしまえば手続きは簡単ですよ。
ではまた。
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